号外:フレイル特集②社会参加・運動とフレイル
ヘルシーコープ通信では号外として今号から4回にわたり、フレイルに関する情報と"たんぱく質がとりやすい"レシピをあわせてお届けしていきます。
-
前号では、「フレイルってなに?」の中でフレイルについて、その基準、いつからはじまるのか等についてお伝えしました。フレイルとは加齢に伴って身体的・心理的な活力が低下し、要介護の状態に近づくことを表しています。又、フレイルは早めの気付きと対策をすることで、元に戻ることができる可逆的な状態です。
フレイルの予防・改善の3つの柱は
①社会参加
②運動
③栄養です。
今号では①社会参加②運動について説明していきます。フレイルには、体力や筋力が落ちるなどの身体的な変化だけではなく、気力の低下などの精神的な変化や、孤立・閉じこもりなどの社会的な変化も含まれます。フレイルの状態になると、何らかの病気にかかりやすくなる、入院するなど、ストレスに弱くなります。フレイルは可逆的な状態ですが又、要介護状態に陥りやすくなるというのも事実です。
※フレイルは、要介護状態に至る前段階として位置づけられますが、身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味します。「フレイル診療ガイド2018年版」(日本老年医学会/国立長寿医療研究センター、2018)
社会とつながっていますか?
-
フレイルの予防・改善の最も大きな柱とも言えるのが「①社会参加」です。 先に挙げた「①社会参加」「②運動」「③栄養」は相互に関連し影響を与えあっていますが、身体が衰える最初のきっかけになりやすいのが「社会参加」の機会が低下していくことであることがわかってきました。社会とのつながりを失うことが、フレイルの最初の入り口となりやすいのです。
社会とのつながりを保ち続けることは、外出の機会を増やすことになります。外出することや人に会うことで気分をリフレッシュし、また身体的にも活動量を増やすことにもつながります。小さな用事を組み合わせて、こまめに外出すること、人とあって交流することを意識的にしていきましょう。また趣味やボランティアなど「楽しさ」や「やりがい」のある活動に関わることもお勧めです。
-
●小さな用事で出かけよう!
日々の食料品や日用品の買い物、病院への定期通院、近所への散歩なども、大事な外出の機会です。
●友人、知人と会う約束を!
人との交流はとても大事。コミュニケーションをとることで気持ちを安定させたり、気持ちに張り合いが出たり、心身を活性化させることにつながります。 家庭の中でも家族とのコミュニケーションをとるようにしましょう。
●地域での活動や趣味の活動に参加してみよう!
地域での行事に参加するのはもちろん、生協の組合員活動に参加してみるのも良いですね。やりがいのあるボランティア活動を始めてみるのもお勧めです。自治体では頻繁にボランティアを募集しています。興味がある方は問いあわせてみましょう。こうした活動で自分の住んでいる地域でつながりができることは、何より心強いことです。又、趣味の活動に参加したり、関心のあることを新しく習い始めたりすることも、新たな活動の場が生まれ、新しい知人や友人ができるきっかけにもなるでしょう。
プラス10分活動を。
-
続いては「②運動」です。運動という言葉を使っていますが、激しい運動を急に始める必要はありません。無理の無い範囲で、日常生活の中で体を動かす頻度を増やすようにしてみましょう。
厚生労働省による「65歳以上の人を対象にした身体活動指針(アクティブガイド)*2」では、健康寿命を延ばすために、いつもよりも「プラス10分」身体活動を増やすことが勧められています。身体活動とは、運動を含めた日常生活の活動全体をさす言葉です。
まずは気軽なウォーキングから!
-
散歩の距離を少し増やす、遠回りをして買い物にいく、子供や孫の送り迎えをするなど日常の中で身体活動を増やす工夫をしてみましょう。 例えば、いつもより10分多く歩いてみるのはいかがでしょうか?ここでは頭も使うウォーキング「コグニウォーキング」をご紹介します。
●コグニサイズとは●
国立長寿医療研究センターで開発された認知症予防のための運動方法です。運動で体の健康を促すと同時に、脳の活動を活発にする機会を増やし、認知機能の維持・向上をはかることを目的としています。cognition(認知)とexercise(運動)を組み合わせてcognicise(コグニサイズ)と言います。
※安全のために※
・からだを動かす時間は少しずつ増やしていきましょう。
・体調が悪い時は無理をしないでください。
・病気や痛みがある場合は医師や健康運動指導士などの専門家に相談しましょう。
日本生協連は、フレイルの認知拡大・フレイル予防に取り組むCGF日本CHL(ヘルシーエイジング分科会)の活動に参画しています。
-
※CGF(ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム)とは、世界70か国から約400社の食品・消費財メーカーと小売業が参加する国際的な団体で、サステナブルなビジネスの成長と業界の効率性、前向きな変化をもたらしつつ、人々と地球環境に資することを目的とするグローバルなネットワークです。
※ CHL:collaboration for healthier lives(より健康的な生活のためのコラボレーション)とは 、CGFが世界10か国で展開するグローバルな活動で、会員である製造業と小売業者が、地元地域社会と地域の人々がより健康的な意思決定を習慣的にしてもらえるよう協働しています。
・日本CHL「ヘルシーエイジング分科会」では
日本における健康栄養課題の解決を目的に活動するローカルグループの一つで、日本でのより健康的な生活のためのコラボレーションを目指しています。日本生協連も活動に賛同しています。 生活者がフレイルのリスクを自分ごととしてとらえ、ご自身またはご家族の食生活の改善を通してフレイル予防に取り組むことを応援しています。ヘルシーエイジング分科会参加企業:味の素株式会社、国分グループ本社株式会社、ダノンジャパン株式会社、ボストンコンサルティンググループ合同会社、日本生活協同組合連合会
日本CHL「ヘルシーエイジング分科会」の参加企業が協力して作成したレシピを紹介していきます。
カジキマグロとミニトマトのマヨソテー
【材料(2人分)】
- かじきまぐろ(秋~冬はめかじきでも)...2切(200g)
- ミニトマト...6個
- かつお節...適量
- 塩...少々
- しょうゆ...小さじ1
- マヨネーズ...大さじ2
【作り方】
- かじきまぐろはひと口大のそぎ切りにして、塩で下味をつける。
- ミニトマトは半分に切る。
- フライパンにマヨネーズ大さじ1を入れて熱し、①を入れて炒め、火が通ったら、残りのマヨネーズと②を加えて、ミニトマトが少しくずれるくらいまで炒め、しょうゆを入れる。
- 器に③を盛りつけ、かつお節を散らす。
調理しやすいかじきまぐろを使って、手軽にたんぱく質をプラス!淡泊なかじきまぐろをマヨネーズで炒めるとコクとうま味がアップします。かつお節としょうゆの風味が素材のおいしさを引き立てます。
調理時間20分(1人分)カロリー:267kcal/たんぱく質:20.5g/食塩相当量:1.0g
ツナと小松菜の味噌汁
【材料(4人分)】
- CO・OPライトツナフレーク(かつお油無添加)...1缶(70g)
- 厚揚げ...2枚(270g)
- 小松菜...1/2束(150g)
- にんじん...1/3本(50g)
- CO・OPすりごま白...大さじ2
- みそ...大さじ1と1/2
- 【A】
- 水...3カップ(600ml)
- ほんだし...小さじ2
【作り方】
- ツナは汁気をきり、厚揚げはタテ半分に切って、1cm幅に切る。小松菜は4cm長さに切り、にんじんは短冊切りにする。
- ②鍋にAを入れて火にかけ、①の厚揚げ・にんじんを加えて煮る。にんじんに火が通ったら、①のツナ・小松菜、ごまを加え、ひと煮立ちしたら、みそを溶き入れる。
旬の小松菜のおみそ汁に、ツナ缶を加えて手軽にたんぱく質をプラス! 風味豊かなすりごまを加えることで、ツナのクセをおさえ食べやすく仕上げてあります。
調理時間10分(1人分)カロリー:158kcal/たんぱく質:13.0g/食塩相当量:1.6g
ふわふわ鶏だんごと白菜の豆乳クリーム煮
【材料(2人分)】
- 鶏ひき肉...200g
- バター...10g
- 薄力粉...大さじ1
- CO・OP国産大豆の無調整豆乳(フクユタカ)...200ml
- 粗びき黒こしょう・好みで...適量
- 【A】
- CO・OPマヨネーズ 全卵タイプ...大さじ1
- 片栗粉...大さじ1
- 【B】
- 水...200ml
- CO・OP(スープがおいしい)コンソメ...1個
【作り方】
- ボウルに鶏ひき肉、【A】を入れてよく混ぜ、ひと口大に丸める。白菜は葉と芯に分け、それぞれひと口大に切る。
- フッ素樹脂加工のフライパンを熱し、①の鶏だんご入れて焼く。両面に焼き色がついたら、いったん取り出す。
- 同じフライパンにバターを熱し、①の白菜の芯を入れて炒める。しんなりしたら、いったん火を止めて薄力粉をふり入れ、全体を混ぜたら、再び火にかけてサッと炒める。
- ①の白菜の葉・②、【B】を加え、フタをして3分ほど煮る。全体に火が通ったら、豆乳を加えてひと煮立ちさせる。
- 器に盛り、好みで黒こしょうをふる。
豆乳を使ってたんぱく質をプラス!鶏ひき肉にマヨネーズを加えて、やわらか・まろやかに♪冬野菜の白菜を使った温かくホッとできるメニューです。
調理時間20分(1人分)カロリー:351kcal/たんぱく質:23.4g/食塩相当量:1.6g
鮭と小松菜のマカロニグラタン
【材料(2人分)】
- CO・OP早ゆでマカロニ...70g
- 小松菜...1株
- 玉ねぎ...1/2個
- 鮭中骨水煮缶...1缶
- しめじ...1/3株
- バター...20g
- 小麦粉...20g
- CO・OP国産大豆の無調整豆乳(フクユタカ)...200ml
- コンソメ...少々
- CO・OPミックスチーズ...40g
【作り方】
- マカロニを茹でる。小松菜はざく切り、玉ねぎは薄切りにする。
- フライパンにバターを熱し、小松菜の茎を炒める。
- 小松菜の葉、玉ねぎを加えてさらに炒める。
- 小麦粉を振り入れ、なじませたら豆乳とコンソメを加える。
- 鮭水煮缶を汁ごと加え、一口大にほぐす。
- グラタン皿にマカロニを入れる。⑤を乗せ、チーズをかけて、190℃に余熱をしたオーブンで8分程度色が付くまで焼く。
高たんぱくな鮭と豆乳を使い、一品でたんぱく質がしっかりととれるグラタンです。
調理時間20分(1人分)カロリー:443kcal/たんぱく質:26.5g/食塩相当量:1.6g
たんぱく質×食物繊維=黒ゴマきなこオーツミルク
【材料(2人分)】
- オーツミルク...250ml
- すりごま黒...大さじ1
- きなこ...大さじ1
- 黒みつ...小さじ1
【作り方】
- 鍋にオーツミルク、きなこ、すりごま黒、お好みで黒みつを入れ、中火にかけ、時々混ぜながら温める。
- カップに注ぎ入れる。
オーツミルクは黒ゴマときなこの和の素材とも相性ぴったり。たんぱく質も食物繊維もとれてうれしいドリンクです。
調理時間5分(1人分)カロリー:247kcal/たんぱく質:6.1g/食塩相当量:0.3g
Healthy!オーツミルクdeわらび餅風ゼリー
【材料(3人分)】
- オーツミルク...250ml
- CO・OPゼラチン...5g
- 水(ふやかす用)...大さじ1
- CO・OP北海道の大豆100%使用きな粉...大さじ1
- CO・OP沖縄県産黒糖使用 黒みつ(伊平屋島産黒糖100%使用)...小さじ1
【作り方】
- お皿に大さじ1の水を入れ、粉ゼラチンを振り入れて軽くかき混ぜ、5分ぐらいおく。
- 鍋にオーツミルクを入れ、中火で時々混ぜながら温める。
- 火を止めて、ゼラチンを加えて混ぜ合わせる。
- しっかり混ざったら、④をカップに流し入れ、冷蔵庫で2時間ぐらい冷やし固める。
- 出来上がったゼリーにきなこと黒みつをかける。
ゼラチンに水をかけるとムラになってしまうので、ゼラチンを後から入れるのがポイント。
調理時間15分(1人分)カロリー:100kcal/たんぱく質:4.4g/食塩相当量:0.2g/食物繊維2.8g
ほうれん草の錦糸卵和え
【材料(2人分)】
- CO・OPライトツナフレーク カロリーハーフタイプ...1缶(70g)
- CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシング...大さじ1
- CO・OPマヨネーズ 全卵タイプ...小さじ1
- ほうれん草...1/2束(100g)
- 卵...1個
- 片栗粉...ひとつまみ
- 油...少々(小さじ1/2程度)
【作り方】
- ほうれん草は好みの柔らかさに茹でて水にとり、よくしぼって3センチ長さに切る。 <li卵はボウルに割ってマヨネーズと片栗粉を入れよく混ぜる。。
- 油をひいたフライパンを中火で熱し、②を入れ薄焼き卵をつくり、粗熱がとれたら細切りにする。
- ボウルに①、③、軽く油を切ったツナを入れて和え、ドレッシングを加えて更に軽く和える。
錦糸卵を炒り卵にすると、より簡単に作れます。
調理時間20分(1人分)カロリー:130kcal/たんぱく質:10.2g/食塩相当量:0.8g
参考文献・出典
-
*1厚生労働省ホームページ 食事摂取基準を活用した高齢者のフレイル予防事業 パンフレットより2022年11月2日https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089299_00002.html
*2「食からはじめる!フレイル予防の本」監修 桜美林大学 老年学総合研究所 所長 鈴木隆雄 味の素(株)発行
*3「65歳以上の人を対象にした身体活動指針(アクティブガイド)」より2022年12月23日https://www.mhlw.go.jp/content/000656518.pdf