菌種同定検査
菌種同定検査は、微生物が原因の商品事故が発生したときや、商品の微生物検査で菌数が基準を超過したときに、その原因となった菌を同定するために実施します。こうして得られた菌種の情報は、商品事故の原因や、菌数が基準を超過することになった原因の推定に活用します。
検査の紹介
菌種同定検査の手法には、大きく分けて、菌がもっている遺伝子を解析する方法と、菌に含まれるタンパク質を解析する方法があります。日本生協連では、菌に含まれるタンパク質を解析する手法を採用しています。
1菌の分離
検査対象となる菌を培地に播いて培養し、コロニーと呼ばれる、目視できる大きさの菌の塊を作らせます。
※培地:微生物が増殖するのに必要な栄養成分を含む液体や、それに寒天を加えて固めたもの
2菌のターゲットプレートへの塗布
コロニーを爪楊枝でつついて菌を採取します。採取した菌はターゲットプレートと呼ばれる金属製のプレートに塗布します。
3マトリクス試薬の滴下
ターゲットプレートに塗布した菌の上に、タンパク質を分析するために必要なマトリクス試薬を滴下し、乾燥させます。
4菌体中のタンパク質の分析
ターゲットプレートをマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI-TOF MS)にセットし、菌体中のタンパク質の質量を測定します。菌体中には様々なタンパク質が存在するので、分析結果は、どのような質量のタンパク質が存在したかがスペクトルと呼ばれるグラフの形で表示されます。
5菌種の同定
得られたスペクトルを、予め菌種ごとに測定しておいたスペクトルと比較して、最もよく一致するスペクトルの菌種と同一菌種であると同定します。
スペクトルのデータベース
予め菌種ごとに測定しておいたスペクトルはライブラリというデータベースに登録されています。
ライブラリには約3000菌種のスペクトルが登録されています。